石川県で事業を営む中小企業・個人事業主が使える「石川県独自」の補助金は、2026-10-27時点で、能登半島地震・奥能登豪雨からの復旧・起業を軸にした制度が中心になっている。なかでも営業再開支援補助金(18次)・起業促進補助金(8次)・中小企業経営革新支援制度(第4次)は、いずれも10月30日が締切だ。本稿は石川県の公式ページを2026-10-26に開いて確認できた内容だけで構成している。確認できなかった項目は「確認できなかった」と明記する。

石川県の独自制度は国の制度と何が違うのか

石川県の制度は、大きく「国の制度に県が上乗せするもの」と「県が単独で設計したもの」に分かれる。2026-10-27時点で確認できた範囲では、次のように整理できる。

制度国との関係石川県ならではの点
小規模事業者事業継続支援補助金国の小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)への上乗せ県が最大100万円(補助率2/3)を上乗せし、国と合わせて最大300万円
営業再開支援補助金県独自令和6年能登半島地震・奥能登豪雨の被災事業者向け。上限300万円
起業促進補助金県独自能登6市町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町)への新規参入が対象。上限300万円
中小企業経営革新支援制度国の中小企業等経営強化法に基づく計画承認を県が受け付ける制度承認が日本政策金融公庫の低利融資や県制度融資、県ファンドなどの入口になる
事業承継円滑化補助金県独自専門家の活用経費の一部を助成。受付はISICO(石川県産業創出支援機構)

つまり、石川県独自の部分は「能登の被災事業者・能登への新規参入」に手厚く、一般的な設備投資や販路開拓は国の制度や県のファンドで探す構図になっている。

2026-10-27時点でいま申請できる制度

締切が近い順に並べる。金額・締切は2026-10-27時点で、石川県の公式ページに載っていたものだ。

① 令和6年能登半島地震等 営業再開支援補助金(18次:10月30日締切/19次:12月4日締切)

  • 対象:令和6年能登半島地震および令和6年奥能登豪雨で被害を受け、石川県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者等
  • 上限:300万円
  • 補助率:小規模事業者2/3、中小企業1/2
  • 令和8年度も募集を継続(15次4月30日、16次6月30日、17次8月31日、18次10月30日、19次12月4日)
  • 問い合わせ:営業再開支援補助金事務局 0120-046-768(10:00〜17:00、土日祝除く)

公式ページには提出期限に関する年の表記が不自然な箇所があった。期限は事務局に直接確認してほしい。

② 令和6年能登半島地震等 起業促進補助金(8次:10月30日締切/9次:12月4日締切)

  • 対象:新たな起業、既存事業者の第二創業(多店舗展開を含む)、第三者承継のいずれかで、能登6市町に新規参入する方
  • 上限:300万円
  • 補助率:新たな起業2/3、第二創業・第三者承継1/2
  • 問い合わせ:起業促進補助金事務局 050-3827-2809(10:00〜17:00、土日祝除く)

公式ページに「受付中」「受付終了」の明示はなく、8次・9次の締切が残っているという読み取りになる。最新状況は事務局へ確認が必要だ。

③ 中小企業経営革新支援制度(第4次:10月30日提出締切)

補助金そのものではなく、経営革新計画の承認制度。承認を受けると、日本政策金融公庫の低利融資、信用保険保証の特例、県制度融資(経営革新等支援融資)などの対象になる。活性化ファンド・次世代ファンド、ものづくり補助金で加点対象になる場合もあるとされている。

  • 対象:直近1年以上の営業実績があり、この間に決算を行っている事業者。個人事業主は住民登録が石川県内であること
  • 創業間もない企業やこれから創業する人は対象外
  • 審査会:第4次は令和8年12月中旬の予定
  • 問い合わせ:商工労働部経営支援課 経営支援グループ 076-225-1525

④ 石川県電気・ガス価格高騰緊急対策支援金(令和8年10月15日〜11月20日・消印有効)

  • 対象:県内に本社または主たる事業所がある中小企業等(みなし大企業は除く)で、県内事業所で高圧電力・特別高圧電力・工業用LPガスを使っている事業者
  • 高圧契約は、いしかわ環境ISOへの登録、または過去3年以内の省エネ診断の受診が条件
  • 支給額は固定ではなく、対象期間の使用量×単価で算出
  • 問い合わせ:支援金事務センター 076-231-3134(平日9:00〜18:00)

公式ページからは、個人事業主が対象に含まれるかは確認できなかった。高圧・特別高圧の契約をしていない事業者は対象にならない。申請要項(PDF)で確認してほしい。

⑤ 小規模事業者事業継続支援補助金(県上乗せ分:令和9年2月26日締切)

  • 国の「小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)」の交付決定を受け、受け取りが完了した県内の小規模事業者等が対象
  • 県の上乗せは上限100万円、補助率2/3
  • 令和8年度内に入金を希望する場合は、令和9年2月26日(金)までに申請書を提出
  • 問い合わせ:事務局 0120-110-464(10:00〜17:00、土日祝除く)

ただし、国の持続化補助金(災害支援枠)側の石川県向け公募は第8次で終了している(後述)。この制度は新たに国へ申請する人向けではなく、すでに国の補助金を受け取った人が対象になる。

⑥ 事業承継円滑化補助金(令和8年5月13日〜令和9年2月1日)

県内中小企業の円滑な事業承継に要する専門家の活用経費の一部を助成する。受付はISICO。公式ページには対象者・補助率・上限額の記載がなく、公募チラシかISICOのサイトでの確認が必要だった。そのため本稿では金額を書かない。問い合わせは商工労働部経営支援課 076-225-1525。

申請の順番:どれを先に取るか

公式ページで読み取れた「順番」の条件は次のとおり。

  1. 国の持続化補助金(災害支援枠)→ 県の上乗せの順。県の事業継続支援補助金は、国の補助金の受け取り完了後に申請する。順番を逆にはできない。
  2. これから起業・新規参入する人は経営革新を使えない。経営革新支援制度は営業実績1年以上が要件のため、能登での起業は起業促進補助金、既存事業の承認は経営革新と、窓口が分かれる。
  3. 経営革新の承認は、融資やファンド・ものづくり補助金の加点につながる。融資や他の補助金を予定しているなら、承認の取得を先に検討する価値がある。ただし承認が支援措置を保証するものではなく、各申請先の審査が別に必要。
  4. 電気・ガス支援金は、県の他の物価高騰対策支援金の対象に該当しないことが条件。他の支援金を受けている場合は注意が必要。

営業再開支援補助金と国の持続化補助金、起業促進補助金を同時に使えるかどうかは、今回開いた公式ページからは確認できなかった。同じ経費への二重補助が認められるとは限らないため、申請前に各事務局へ確認してほしい。

よくある不採択・対象外になるポイント

採択率や不採択理由を県が公表しているページは今回確認できなかった。以下は公式ページの要件から読み取れる「対象外になりやすい点」であり、審査結果の統計ではない。

  • 対象地域の外れ:起業促進補助金は能登6市町への新規参入が対象。金沢市などでの起業は対象外
  • 復旧と無関係な事業:県上乗せの前提となる国の持続化補助金(災害支援枠)では、復旧に関係しないソフト事業のみの申請は対象外
  • 営業実績の不足:経営革新は創業間もない企業、これから創業する人は対象外
  • 住民登録:経営革新で個人事業主は住民登録が県内であること
  • 契約・登録の条件:電気・ガス支援金は高圧・特別高圧・工業用LPガスの利用が前提。高圧ではISO登録か省エネ診断の受診も必要
  • 期限と提出順:県上乗せは国の受け取り完了後でないと申請できない

過去の制度(募集終了分。次年度の見通し材料として)

中小企業者持続化補助金(災害支援枠)(第8次で終了)

能登6市町を対象に、申請期間は令和8年1月30日〜4月27日。受付はISICO。公式ページに「8次公募をもちまして終了」とある。県の上乗せ(事業継続支援補助金)は上で述べたとおり継続中なので、すでに国の交付を受けた人は上乗せの申請が可能だ。

成長戦略ファンド(令和8年度公募:4月20日〜6月12日)

研究開発支援(DX/GX)は補助限度額3,000万円・補助率2/3。新商品・新サービス開発支援は助成限度額300万円(小規模事業者150万円)、助成率2/3(小規模事業者3/4)。いずれも令和8年度の公募は終了している。次回の日程は公式ページに記載がなく、令和8年度が4月20日開始だったことが手がかりになるだけだ。令和9年度の公募時期は確認できていない。

次年度の見通し

営業再開支援補助金と起業促進補助金は、令和8年度は4月から12月4日まで約2か月ごとの締切で運営されている。令和9年度に継続されるかは、公式ページでは確認できなかった。県の発表を待つしかない。

問い合わせ先

  • 石川県 商工労働部 経営支援課:076-225-1525(ファクス 076-225-1523)
  • 営業再開支援補助金事務局:0120-046-768
  • 起業促進補助金事務局:050-3827-2809
  • 小規模事業者事業継続支援補助金事務局:0120-110-464
  • 電気・ガス価格高騰緊急対策支援金事務センター:076-231-3134
  • 成長戦略ファンド(ISICO):研究開発支援 076-267-6291/新商品・新サービス開発支援 076-267-5551

FAQ

個人事業主でも石川県の補助金を申請できますか?

制度ごとに異なる。経営革新支援制度は個人事業主なら住民登録が石川県内であることが要件で、営業再開支援補助金は小規模事業者として補助率2/3が適用される。電気・ガス支援金は、個人事業主が対象かどうか公式ページでは確認できなかった。

10月30日に間に合わない場合はどうなりますか?

営業再開支援補助金(19次)と起業促進補助金(9次)は12月4日が締切。経営革新は第4次が10月30日で、次の募集時期は確認できていない。

国の持続化補助金と県の補助金は両方使えますか?

県の事業継続支援補助金は、国の持続化補助金(災害支援枠)への上乗せ制度のため両方を使う前提になっている。それ以外の組み合わせの可否は公式ページから確認できなかったため、各事務局に問い合わせてほしい。

石川県の起業支援は能登以外でも使えますか?

今回確認した起業促進補助金は、能登6市町への新規参入が対象。それ以外の地域での起業向け県制度は、今回の確認範囲では見つからなかった。

参考文献